親友同士の他愛のない恋バナ、大学教授に教えを乞う生徒、20年ぶりに再会した女友達… 軽快な物語の始まり、日常対話から一転、鳥肌が立つような緊張感とともに引き出される人間の本性、切り取ら れる人生の一瞬… 小さな撮影体制でリハーサル・撮影時間を充分に確保し、俳優たちの繊細な表現を丁寧に映した。 まるで劇中に 流れるシューマンのピアノ曲集《子供の情景》のように軽やかかつ精緻で、遊び心に溢れた俳優の演技は必見だ。 日本映画の新時代を感じさせる映画体験が、観るものの心を捉えるだろう。
偶然-それは、人生を大きく静かに揺り動かす ・第一章 撮影帰りのタクシーの中、モデルの芽衣子(古川琴音)は、仲の良いヘアメイクのつぐみ(玄 理)から、彼女が最近会った気になる男性(中島歩)との惚気話を聞かされる。つぐみが先に下 車したあと、ひとり車内に残った芽衣子が運転手に告げた行き先は──。 ・第二章 作家で教授の瀬川(渋川清彦)は、出席日数の足りないゼミ生・佐々木(甲斐翔真)の単位取 得を認めず、佐々木の就職内定は取り消しに。逆恨みをした彼は、同級生の奈緒(森郁月)に 色仕掛けの共謀をもちかけ、瀬川にスキャンダルを起こさせようとする。 ・第三章 高校の同窓会に参加するため仙台へやってきた夏子(占部房子)は、仙台駅のエスカレーター であや(河井青葉)とすれ違う。お互いを見返し、あわてて駆け寄る夏子とあや。20年ぶりの再 会に興奮を隠しきれず話し込むふたりの関係性に、やがて想像し得なかった変化が訪れる。