『寄生獣』、『ヒストリエ』の岩明均の怪作実写化! この夏、『ガンニバル』のディズニープラスが放つ衝撃作! 実写映画化やTVアニメ化で人気を博した『寄生獣』、現在連載中の『ヒストリエ』など唯一無二の世界観を絶賛される漫画家、岩明均のもうひとつの傑作『七夕の国』。1996年から99年にかけて小学館・ビッグコミックスピリッツにて不定期連載されたこのコミックは、SFと現実、スリルとサスペンス、探求と哲学、狂気とバイオレンスが複雑に絡み合い、読者を熱狂の渦へと巻きこんだ。その壮大なスケールと刺激的な描写から実写化不可能と言われ続けてきた物語を、ディズニープラスは『ガンニバル』に続く注目のミステリー超大作として全世界に放つ! 突如として現れた人も街もまるくエグる球体の謎は、 日本の田舎にひっそりと存在する小さな町に隠されていたー 次々と深まっていく怒涛のミステリー展開と、点と点が繋がる圧倒的なクライマックス! ある日突然、街や人が“球体”にまるくエグられ消失する怪奇事件が発生。 “念力で物に小さな穴をあける”という何の役に立たない地味な特技を持つ平凡な大学生・南丸洋二は、ひょんなことから怪奇事件の解明に巻き込まれるが、彼の持つ力は、恐るべき球体を操る人物が持つ力と同じものだった。そして謎を追ううちに、東北の山間にある閉ざされた “丸神の里”と呼ばれる小さな田舎町に辿り着くのだった・・・。一見のどかな町であったが、建設会社の社長が頭部をまるくえぐられて死亡した怪奇事件の発生をきっかけに、その暗部が徐々に浮かび上がってくる。時を同じくしてこの町にやってきた主人公、ナン丸をはじめとする東京の大学生たちは、そこでにわかには信じられない事実を目の当たりにすることになる。そしてそれは、後に日本中を恐怖で凍りつかせる大事件の始まりでもあった……。 『七夕の国』の最大の吸引力は、圧倒的なミステリー濃度である。丸神の里に暮らす人々の、どこかよそよそしい態度や血筋に対する異様なほどの崇拝、雄大な山々に刻み込まれた妙に人工的な地形、敵国3千人の軍勢を数名で壊滅させたという戦国時代の伝説、7月ではなく6月に行なわれる時期外れの七夕祭、そしてこの町でごくまれに生まれる“能力”を持った者―。丸神の里が抱える様々な謎が次々と登場し、観る者はぐんぐんとミステリーに飲み込まれていく。それに加え国会議員の不審死やその死体に残る円形にえぐられた痕、不気味な球体の出現など、怪奇現象は国家レベルで瞬く間に広がっていく。それらは一見無関係に思えるが、シリーズ後半では散りばめられた“点”と“点”が見事なまでにつながれ、“一本の線”となっていく。その展開はまさに圧巻で、ミステリーの醍醐味を存分に味わうことができる。想像もしなかった真実へと導かれていくクライマックスまで目が離せない。 壮大な謎に巻き込まれていくのは“何の役にも立たない地味な特技”をもった平凡な大学生 ミステリーと共に丁寧に描かれる人間の成長ドラマ ミステリーは、その謎を追うキャラクターに共感を抱けてこそ成立する。本作の主人公、ナン丸こと南丸洋二は、紙に極小の穴を開けるという、何の役にも立たない地味な特技を持っていることを除けば、どこにいてもおかしくない平凡な大学4年生。就職活動もなんとかなるとしか考えていない楽観的な青年だが、怪奇事件の謎を追って訪れた丸神の里で自身のルーツを知り、自分が持つ“ある力”と対峙せざるをえなくなる。この力は何のために与えられたのかー、自問自答しながら成長していくナン丸の姿は、微笑ましくも頼もしくもあり、観る者を惹きつける。また、ナン丸と同様の能力を持つ者として描かれる複数の登場人物においても、それぞれの葛藤や成長が丁寧に描かれ、本作に深みをもたらしている。丸神の里で暮らす、どこか陰のある女性・東丸幸子とナン丸の間に生じる、ロマンスの萌芽も気になるところ。青春ドラマのテイストが随所に息づいているのは、本作の妙味でもある。 ナン丸を演じるのは映画『町田くんの世界』で映画初主演を務め、大河ドラマ「どうする家康」で徳川信康役を好演したのも記憶に新しい細田佳央太。若者らしいピュアネスや好奇心を、ときにユーモラスに、ときにシリアスに表現し、観る者をドラマへと引きずり込んでいく。また、東丸幸子役には映画『ソロモンの偽証』に主演した藤野涼子、ナン丸と同じ“力”を持つその兄、東丸高志役に「幽☆遊☆白書」の上杉柊平、ナン丸を丸神の里に導くゼミ講師、江見早百合役に『私たちはおとな』の木竜麻生と、活躍目覚ましい若手俳優が共演。さらに物語の鍵を握る失踪した教授、丸神正美に三上博史がふんし、最大の謎を秘めたキャラクター、丸神頼之役の山田孝之は、あっと驚くルックスで姿を見せる。 演出には「大豆田とわ子と三人の元夫」「クレイジー・クルーズ」などのTVシリーズで才気を発揮している瀧悠輔を筆頭に、3人の気鋭監督が結集。共同脚本を兼任した瀧は連載時からの原作のファンで、平成に発表された物語を令和の時代にアップデートしつつ、そのスピリットを正確に再現し、壮大なミステリーを描き出す。 突如として現れた球体の正体は一体何なのか? 全てをエグる“力”はなぜ、何のために与えられたのか? 閉鎖的な小さな町“丸神の里”に隠された秘密とは? この夏、謎が謎を呼ぶ、不気味な超常ミステリーが幕を開ける!
東京の大学に通うナン丸こと、南丸洋二は祖父から受け継いだ何の役にもたたない地味な特技を持っている。それは物質に念力で小さな穴を開けること。この力のおかげで、新技能開拓研究会なる学内のサークルでは部長として一部の会員に尊敬されているが、何の役にも立たないこの技能に呆れて辞めていく後輩もいる。すでに4年生で、就職活動に身を入れなければならない立場だが、“なんとかなるだろう”くらいにしか考えていないお気楽な若者だ。 そんな呑気な日常は、学内の掲示板の張り紙によって一変していく。面識のない民俗学教授、丸神に呼び出され、その研究室を訪れたナン丸は、丸神ゼミの講師、江見や研究生たちと知り合い、やがて教授が出張先で消息を絶ったことを知らされる。丸神が訪れていたのは東北の山間にある “丸神の里”と呼ばれる田舎町。そこに自身のルーツがあると知ったことから、彼は調査のためにそこを訪ねていたのだ。そして南丸という苗字も、“丸神の里”に縁のある名前であったことが、ナン丸が呼び出された理由であるらしい。折しも、丸川町では建設会社の社長が頭部を丸くえぐられて死亡するという怪奇事件が起こり、メディアを騒がせていた。 江見は丸神教授を自力で探し出そうと、ふたりのゼミ生とナン丸を連れて丸神の里へと向かう。しかし、博物館や宿を訪ね歩き教授の足取りをたどるも、手がかりは見つからない。町民にも訊きこみを行なうが、どこかよそよそしく、何かを隠しているようでもあった。ナン丸は町の喫茶店でバイトの女の子、幸子と知り合い、心をときめかすが、彼女もまた多くを語らない。ところがナン丸の苗字を聞いた途端、町民の態度は一変する。いきなり歓迎会が催され、ナン丸はちょっとしたお殿様気分を味わう。それでも教授の行方は、まったくわからなかった。 手詰まりとなった彼らは、丸神の里で毎年6月に一週間に渡って開催される七夕祭を見物してから帰ることに。祭の夜、ナン丸は幸子と会い、町には特異な力を持つ者がときどき現われることを知らされる。力には2種類あり、ひとつはごく少数で特殊な力を持つ“手がとどく者”。ナン丸はこれに当たるらしい。そしてもうひとつは、幸子もそうだが、“窓をひらいた者”で、こちらは目に見えるような超能力はないという。その頃、江見らは丸神山の山頂に灯る神事の灯りに強く興味を引かれ、ゼミ生の多賀谷を連れ、立ち入り禁止の規則に逆らい山に登ろうとしていた。山頂で彼らが見たものは? 一方で、幸子の兄であり“手がとどく者”とされる高志が丸神の里に戻ってきた。幸子と不仲である彼は、その力を正しくないことに使っていたことから町民にも疎まれていた。ナン丸の存在に興味を示し、東京に戻った彼を追いかける高志。同じころ、とある国会議員の講演会場でおぞましい事件が起こる。会場内に出現した大きな球体が議員に近づくや、その上半身をえぐったのだ。パニックに陥る会場。その外にはコートをまとい、目だけが覗くマスクを付けた不審な男の姿が……。 ナン丸の能力は、この球体と無縁ではなかった。“手がとどく者”はこの球体を自在に操ることができる。ナン丸が生み出すそれは小さすぎて、開けられるのも小さな穴だったが、高志の指導によって、その球体は大きくなっていった。そして球体を作れば作るほど、ナン丸の肉体に異変が生じていく……。 しかし、真の恐怖はその先に待っていた。球体によって次々と引き起こされる、テロに匹敵するほどの怪奇事件。動き出す政府の極秘機関。そして村を去ったかつての神官、丸神頼之という男の存在。ナン丸は、この事態にどう対峙するのか?そして丸神の里に秘められた驚くべき秘密とは?